ブレードランナー2049 感想
懐かしさでいっぱいの未来都市だった
1.これぞブレードランナーの世界というべき背景
2.ハリソンフォードおじいちゃんになっても素敵
3.レプリカントKとジョイの恋
4.ホログラフの映像は最高
5..新作見れただけで幸せ

デッカード役のハリソンフォード
『ブレードランナー』の原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。
人造人間レプリカントと、彼らを取り締まる専門職の警官“ブレードランナー”のデッカードとの追跡劇を描いた近未来のSFです。
『ブレードランナー 2049』はその続編ですが、新しい物語と言うよりは、過去を追いかける様な内容になっていたと思います。
ともあれ、前作のファンにはたまらない新作です。
1.これぞブレードランナーの世界というべき背景
『ブレードランナー』は、1982年に公開されたSF映画です。
この映画で描写されたロサンゼルスの情景は衝撃でした。
都会のビルに映し出される巨大な広告や女性のホログラム。
空を自由に飛ぶ自動車。
超高層ビルの足元は一転して、場末の売春婦やホームレスがうろうろするゴミだまりとなっている。
『ブレードランナー』は、こんな混沌とした未来都市のイメージを確立した、まさにSF映画の金色塔です。

Kが見つけたものは?
『ブレードランナー2049』でも、背景は圧巻でした。
ロサンゼルスは高層ビル群と、その底辺に這いつくばるように生きる人々の巨大な人口過密都市となっています。
郊外は、芋虫を養殖しているらしい工場のような農地と子どもが働かされているゴミ捨て場になっています。
ラスベガスは放射能汚染を受けて、かつての巨大な彫像や建物は朽ち果て、砂漠化しているようです。
前作を思い出させる、凝縮した富と果てしない貧しさの対比は画面からあふれていました。
ただ、映像技術も向上し、サイエンスフィクションが乱発して作られている今、どれもどこかで見たことのある風景に感じられてしまい、新鮮さがなかったのは残念かな。
2.ハリソンフォードおじいちゃんになっても素敵
ハリソンフォードが出演していたのは何より嬉しいですね。
どんなに実績のある監督がメガホンをとったといっても、ヒーロー本人が出演していない続編映画は、「名前借りたパクりもの」くらいに見られて、後継作品だと認めてもらえません。
今回の新作だって、ハリソンフォードが出演していなかったら、映画の価値は半減どころではないでしょう。
せっかくキーマンとして出てきたデッカードなのですから、もっとアクションがあってもよかったのに。
敵につかまって主人公に助けられるだけでなく、もっと派手に活躍するところが見たかったな。
白髪のおじいちゃんになってても、かっこいいよかったです。
3.レプリカントKとジョイの恋
主人公のレプリカントKと立体映像ホログラフのジョイとの恋愛?も魅力的でした。
Kはレプリカントの設定だから、感情はあまり表に出さないのですが、
ジョイに対する愛情があふれてました。
ホロのジョイもKを慕ってるに違いない!
結局、人間とレプリカントの差は何なんだろうと考えさせられました。
Kは、彼を慕うジョイも救うことができずに、
「あなたも自分は特別だと思いたかったのね。」と、言われてしまいます。
Kは、特別ではなかったのです。
人もレプリカントも、誰かの特別になりたいのですね。
Kの生きざまが切ないです。

映像ホロのジョイがかわいい
4.ホログラフの映像は最高
ホログラム関係のエフェクトはかなり良かったと思います。
ジョイの、部屋に投影される立体映像の美女ジョイ。
ホログラムの透けている感じ。
部屋の外へ移動できるようになる実態があるのかないのか、雨粒を受け止めるジョイの手のひら。
売春婦と協調して、投影を重ねと時の、気持ち悪い腕の動きのずれ。
街にあふれる巨大広告用のホロも、ブレードランナーそのものでした。

広告用ホロ
5.新作見れただけでしあわせ
今回の新作は、デッカードの過去を探す過去編のようでした。
前作を知らない子どもたちには、「なにがいいのか分からない。」と、不評でした。
こんなにたくさんの物語があふれていて、若者にはありきたりなSF映画だったかもしれません。
でも、「いや、これこそが元祖なんだから。」
思いもよらなかった昔の物語の続きを見ることができたのですから、人生のだいご味ですよ。
始めてブレードランナーを見た感動を思い出し、自分の中にも流れた30年という年月に思いをはせながら、
やはりどういう形であれ、新作を楽しめるのは、幸せなことだと思うのです。
心の奥底にいつまでもあった宝物に光が当たった感じです。
ファンの私には特別の映画でした。