ゆっきゅん粉瘤の手術
1.ゆっきゅんのわきの下に粉瘤ができた
2.粉瘤って何?
3.粉瘤の手術、「小切開摘出術」と「くり抜き方(へそ抜き法)」
4.私も昔粉瘤やって、破裂させた
5.ゆっきゅん手術する
6.抜糸
ゆっきゅんのわきの下に粉瘤ができた
マロンの乳腺腫瘍騒動で、中3の息子ゆっきゅんのわきの下にもできものがあることが判明しました。
私が、「すぐに皮膚科へ行こう!」
と言うと、
ゆっきゅんは「あの皮膚科にはあんまり行きたくないんだよな~。」と言う。
「なんで?」
「だって、はげのことで、その皮膚科に行ったし・・・」
(気になる方は、「ゆっきゅん思春期の真剣な悩みは・・・は・」をご覧ください。)
う~ん、ガラスのハートの思春期のBOYは、まだそんなことを気にしていたのか。
「いや、お医者さんは気にしないから、平気だよ。」
と、渋るゆっきゅんを無理やり皮膚科へ連れて行きました。
先生は、一目見るなり、
「あ~、これはおそらく粉瘤ですね。手術しましょう。」
ゆっきゅんは、手術という言葉を聞くと、怖がって、ややビビリ気味になりました。
「大丈夫ですよ。麻酔をいれても、15~20分くらいで終わります。」
手術は平日木曜日の2時からしかできないということで、その日の学校は早退することにして、翌週の木曜日に予約を取りました。

手術前
粉瘤って何?
粉瘤(ふんりゅう)は、アテローム、アテローマとも呼ばれます。
皮膚の良性腫瘍の1つで、皮膚腫瘍のなかでも多い疾患です。
脂肪のかたまり?しこり?こぶ?できもの?ニキビ?みたいなできものです。
実は表皮でできた袋のような腫瘍で、皮膚の下に、毛穴の一部が内側にめくれて袋状の構造物となり、その袋の中に皮膚から剥げ落ちるはずの角質(垢)が袋の中にたまってしまってできた疾患です。
たまった角質や皮脂は袋の外には出られず、どんどんたまっていくので、時間とともに少しずつ大きくなっていきます。
皮膚の表面の小さな穴から、白いあぶらの様なものが出てくることもあります。
身体のどこにでもできますが、顔、首、背中、耳のうしろ、わきの下、お尻などにできやすい傾向があります。
大部分の原因は、いまだ不明のままです。
自然に消えることはありません。
しかし、炎症や感染を起こすと赤くなって、腫れて、痛みも出てきます。
大きく腫れ上がって、破裂することもあります。
破裂しても、袋が残っているので、いずれ再発します。
小さいうちに手術で袋ごと取り出すことを勧められます。
粉瘤の手術、「小切開摘出術」と「くり抜き方(へそ抜き法)」
基本的に、粉瘤を治療するにはすべての場合で手術が必要になります。
手術には主に二つの方法があります。
皮膚を切開する「小切開摘出術」
皮膚を切開し、そこから嚢腫(のうしゅ)を引っ張り出す方法。
除去後には皮膚を縫合します。
- 皮膚の上に、粉瘤のサイズや切開線をペンでマーキングする。
- 局所麻酔の注射をする。
- マーキングした切開線に沿って切開する。
- 嚢胞(のうほう)を周囲から剥離しながら、ピンセットでつまんで袋ごと引っ張り出す。
- 皮膚を縫合する。
メリット
•切開部分が広いので、皮膚の奥まで見え、袋の取り残しがない。
•傷の治りがよく、約1週間後には抜糸できます。
デメリット
•炎症があった場合、炎症を治めてからでないと切開ができない。

先生が書いた
パンチで穴を開ける「くり抜き法(へそ抜き法)」
ディスポーザブルパンチやトレパンと呼ばれる特殊なパンチで粉瘤に極小さい穴を開け、内容物をもみ出す方法です。
開ける穴の大きさは、粉瘤の大きさやできた部位によって変わります。
最後の処置は、「開いた穴を縫合」「縫合せずにガーゼやテープで保護」「縫合せずに浸潤療法」など、病院によってさまざまです。
- 皮膚の上に、粉瘤のサイズをペンでマーキングする。
- 局所麻酔の注射をする。
- 特殊なパンチで嚢腫の袋を貫通するまで切り込み、粉瘤に穴を開ける。
- 穴から、粉瘤の中身をもみ出す。
- 中身がなくなってしぼんだ袋を取り除く。
メリット
•傷跡が極めて小さく、目立たなくてすむ。
•手術時間が非常に短い。
•炎症を起こしていてもそのまま直ぐに手術をすることができる。
デメリット
•縫合しない場合は傷口がふさがるまで時間がかかる
•足の裏や内容物が固形化した粉瘤には向かない。
•粉瘤が周囲の組織にひどく癒着をしているケースや、7cmを超えるような大きな粉瘤は、対応できない。
•クレーター状のニキビ跡のような若干の凹みが残る。

先生の説明
ゆっきゅんを診察した皮膚科の先生は、
「くり抜き方だと、パンチを差し込んだ時点で、どうしても袋の一部が破けて細胞が混ざるのです。
また、目視で確認できる範囲が狭いため、細胞が取り切れずに再発することも多いです。
一時期は、かなりの患者さんがくり抜き方を選びましたが、再発が多いので、今は、よっぱど傷跡が目立たない方がいいという要望がなければ、基本的には切開しています。」
とのことでした。
ゆっきゅんは、わきの下なので、傷跡が多少残っても構いませんので、先生の勧めるまま、切開法でお願いしました。
私も昔粉瘤やって、破裂させた
そういえば、私も何年か前に粉瘤になったことがあったのです。
同じようにわきの下にできたのですが、このしこりがなんなのか分からなくて、何かすごく悪いものだったらどうしようと思い悩み、大学病院へ行ったのでした。
粉瘤でしょうと言われ、手術の日程を決めようとしたのですが、大学病院なので、すぐには予約が入れられない。
なかなかパートのシフトの都合と合わなくて、手術は一月後になりました。
ところが、その1か月の間に、わきの下の粉瘤は、どんどん、どんどん、大きくなって、ついに、手術まであと1週間という時に、破裂してしまったのです。
大慌てで、病院へ行ったところ、結局、もう傷口を縫うしか出来なくて手術は延期になりました。
しかも、次の日は消毒に、1週間後には抜糸と、結局3回も仕事を休む羽目になりました。
そのうえ、抜糸の時に、「これでもうこの粉瘤は終了ですね?」と聞いたら、
「いや、まだ袋が体の中に残っているので、いつ再発するか分からないので、手術して袋を摘出しないといけません。」と言う。
「じゃあ、もう、今執ってください。」と言ったら、
「いや、粉瘤は、破裂したすぐあとは手術できない。半年くらい待って、傷口が落ち着いたらでないと手術できない。」というのです。
仕方なく、その場は引き下がりました。
また半年後に、手術の予約をしようと電話したら、
「今は季節が悪い。これから暑くなり、傷が膿んだりするかもしれない。
その粉瘤は、またどんどん大きくなってきたりしたら、すぐに手術が必要だけれど、そうでないなら、冬まで待った方がいい。」
と言うのです。
もう、その冬を超え、また夏も冬もいくつか超えましたが、大きくなったりしていないので、今のところほったらかしにしているのです。
私の場合大学病院だったので、最初に診察した先生も、当日駆け込みで手術してくれた先生も、後日の処置をした先生も、全部バラバラだったので、アドバイスが統一してなくて、そのたびに右往左往してしまいました。
ゆっきゅん手術する
さて、ゆっきゅんです。
手術の日、学校から早退したゆっきゅんに、一緒に付いていきました。
外来はもう終わっていましたが、受付の人がすぐに気づいて開けてくれました。
まず、粉瘤のある場所に、紫のマジックペンで、しるしを書かれます。
しるしを確認して、私は処置の間は待合室で待っていました。
20分くらいで終わりました。
呼ばれたので、もう一度診察室に入り、摘出したという、袋を見せてもらいました。
小瓶の中には、液体に浸かった、思った以上に大きくて半透明な袋で、びっくりしました。

取り除かれた袋
なるほど、これは、目視でないと、全部取り除くのは厄介かも、と思いました。
これは、生検に出して、検査してもらいます。
粉瘤摘出後はガーゼを当ててありました。
手術後は、麻酔が切れた後から翌日くらいまで痛みが残る場合があります。
がまんできるくらいの痛みであることがほとんどですが、もし痛かったらと、痛み止めの内服薬(鎮痛剤)を処方してくれました。
シャワーは明日からです。
傷口に毎日塗るようにと、抗生剤の軟膏をもらいました。
一週間後に抜糸です。

手術後
抜糸
ビビリのゆっきゅんは、この後一週間、学校の体育を2回お休みして見学しました。
抜糸も、何をされるのかとびくびくして病院へ行きましたが、
「糸を切っただけだよ!」と、帰ってきました。
手術痕は2〜4週間程度で目立たなくなるそうです。
「今回は、マロンとゆっきゅん、2人とも手術で切られて、大変だったね。」と言ったら、
マロンの傷跡を見て、
「僕のキズはこんなに大きくない。」と言います。そして、
「マロンの毛はずいぶん剃られて、ハゲてるな~。」
と、マロンのハゲてる部分をなでなでします。

マロンラブ
いや、もう、ハゲの話はいいから。
なぜハゲの話になるのかしら。

ハゲているマロン

かなり刈り込まれている